夏の句2・俳句百景(富澤秀雄句集)

summer

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026 花いばら 近頃みんなひとりっ子
027 炎昼の握り潰した紙コップ
028 短夜のキウイ鳴かずに転がった
029 シネマの闇出て 向日葵に感光す
030 釣忍 軒端にジュラ紀の風起こる
031 マンボウが半身探す 五月の海
032 消去法で答出すかに ところてん
033 床磨く 妻の素足が行き来して
034 押しピンのように踏んばる あめんぼう
035 噴水の穂から採りだすレース糸
036 過去形で話せばカルピス薄くなる
037 合歓の花 あれは天女のつけ睫
038 梅雨傘を出て 大海の魚となる
039 ゆっくりと忘れるための 海ほおずき
040 白鳥座の翼が触れてる 揚げ花火
041 夏疲れ たとえば空の紙袋
042 でで虫の角より 住宅展示場
043 空蝉の背中は鍵穴 考古学
044 ドーナツの穴がぽっかり 五月病
045 ガラス器が割れて 遠くで噴水が
046 兜虫 どこかに捻子があるような
047 なめくじが残した 銀の設計図
048 深夜タクシー 蛍の国の出口から
049 向日葵の茎太らせる ブラスバンド

 

夏の句1・俳句百景(富澤秀雄句集)

summer

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001 髭欲しと時には思う サングラス
002 さくらんぼ テーブルクロス純白に
003 蝉しぐれ 書架より失せし博物誌
004 手花火が消えたら 生い立ち話そうか
005 キャンバスにひとつの記憶 青りんご
006 今どきの七人家族 豆ごはん
007 空瓶に唇あてて吹く立夏
008 操作場がらんと電車 ばらの風
009 疑問符のひとつほどけて 水中花
010 心太 身辺の書は斜塔積み
011 晩夏光 沖行くタンカー錆びてくる
012 納涼コンサート 耳のうしろに海がある
013 短夜の夢の端踏むユニコーン
014 この水も七つの海に 濃あじさい
015 バーコード読めないけれど 鮎 檸檬
016 競られゆく クレオパトラというメロン
017 ガリバーの手に身構える バッタの子
018 折り鶴の思わぬ飛力 新樹光
019 クロールの抜き手がつかむ 晩夏光
020 網目から覗く 薄暑のビルの骨
021 広重の夕立の中 橋架かる
022 向日葵の後ろで泣いてるチャップリン
023 また割れた茶碗 大暑のせいにして
024 噴水の穂先が触れてる 仮の平和
025 天道虫のカプセル割れて 星爆ぜる

 

春の句4・俳句百景(富澤秀雄句集)

spring

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076 げんげ田に自然死のごと身をあずけ
077 春眠のところどころに 鳥山立つ
078 花種を蒔けば輝く指がある
079 風揺れのぶらんこ 老いはゆっくりと
080 高かれ 遠かれと 絮たんぽぽは僕
081 絶叫の声 チューリップ開き切る
082 特急はみんな鳥の名 山若葉
083 春の空 雲形定規に表裏なく
084 もう春は見えていますか 遠目キリン
085 ボーカルは誰 つくしんぼうのマイク立つ
086 太郎の塔の目玉の巨大 梅三分
087 耐震のビルと言えども かげろえる
088 蟄虫蠢く 電柱のない街路
089 春眠を掴まえている 羽根布団
090 アイマスクは中也の詩集 野は緑
091 春うらら 目玉が河馬の喫水線
092 花吹雪 誰が引いたの天の紐
093 チューリップの「あ」の」口「う」の口 幼稚園
094 うつ伏せで話せば みんなタンポポ語
095 春の虹 何か言いたげな 如雨露の口
096 青空の雫となって 落雲雀
097 花吹雪 空にほころびあるような
098 携帯のアンテナ伸ばせば つくしんぼ
099 星屑を拾い集める ふんころがし
100 乱丁の白紙のページ 蝶の昼

 

春の句3・俳句百景(富澤秀雄句集)

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051 語尾長く引っぱる車掌 花疲れ
052 間取り図に窓書き足せば 飛花しきり
053 本籍地移すのよそう 絮たんぽぽ
054 啓蟄のマジシャンが吐く万国旗
055 メールアドレス変えてみたけど 花粉飛ぶ
056 胸中に空き部屋ひとつ 絮たんぽぽ
057 銀忌 カップに砂糖溶け残る
058 白雲が梢に仮寝 白辛夷
059 日本の裏はモロッコ 春筍
060 揚げ雲雀 雲のひとつを浮巣とす
061 ライターの火花とびつく 花連翹
062 剃り残しの髭がちくちく 芽木の昼
063 春ならば大魚の骨を打楽器に
064 啓蟄のページを分かつ赤い紐
065 体内のあぶくを増やす花の昼
066 爪切ればみんな呆けるつくしんぼ
067 ペコちゃんの頭をぽんと春の塵
068 警官に呼び止められる啓蟄日
069 春の風邪列車ながなが行き過ぎる
070 薔薇の名はアブラカタブラ白雲湧く
071 とびとびに座る河原の花なずな
072 桜咲く地面を蹴って乾く犀
073 踝は尾鰭の証 海おぼろ
074 姫辛夷 カスタネットの音がして
075 チューリップ クレヨン貸してくれないか

 

春の句2・俳句百景(富澤秀雄句集)

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026 飛花落花 ジャズのロックの ブルースの
027 縄文の火を燃えたたす 花の闇
028 モンローのスカートふわり 五月です
029 「春が来た」「春が来たね」と サラダ盛る
030 梅日和 手紙は青空局留で
031 蝶乱舞たとえばテープの早送り
032 太刀魚に触れて金属アレルギー
033 飛べるかも げんげ田風の滑走路
034 街おぼろ 形状記憶のシャツおぼろ
035 人麻呂忌キトラ古墳の星宿図
036 空豆は宇宙カプセル みどりの日
037 大仏の目線の高さ お山焼き
038 春そこに 出窓は風の郵便受
039 荷をほどく花屋の指から蝶生まる
040 人工島 先住民はタンポポたち
041 春風に相席いかがと カフェテラス
042 シャボン玉 地球をコピーするつもり
043 啓蟄の魚の腹から魚が出る
044 飛花しきり 身体が水を欲しがって
045 早春の風景画であるメロンパン
046 流氷の一片ジンに ジャズを聞く
047 朧夜の家訪うように字幕追う
048 陽炎はアラビア字典の目次から
049 平方根解けば出て来る へび かえる
050 春昼のワム・トム・トラをひと繋ぎ