目をテーマにした俳句(厳選三句)

凪わたる地はうす眼して冬に入る 蛇笏 10月16日に、声を出して味わう「日本の名俳句100選」(中経出版)が発刊された。この本の珍しいのは、副題に「声を出して味わう」とあるとおり、檀ふみの俳句朗読のCDロムがついている。更に、俳句にそれに見合った伊丹三樹彦の写真も付いてる。監修は金子兜太が行っているという親切ぶりだ。この句は、そこから引いた飯田蛇笏の句。蛇笏は、五人の子息のうち三人の逆縁に逢…

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日をテーマにした俳句(厳選三句)

掌に枯野の低き日を愛づる 誓子 この句は、昭和九年に満州(中国の東北一帯の俗称)及び朝鮮での旅吟の句。「特別快車」と題され数句作られた中の一句。その頃は、日本が中国大陸を統治していたので、大陸旅行が盛んだったようだ。車窓から眺める大陸の広々した枯野に沈む夕日は、特別美しくまた感傷的であっただろう。大きな入日をまるで、お盆か何かのように、掌に載せているようだ。更に、全身いやこころの中まで黄金色…

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音をテーマにした俳句(厳選三句)

秋立つや川瀬にまじる風の音 蛇笏 この句は、『古今集』巻四の藤原敏行の「秋立つ日よめる、秋来ぬと目にはさやかに見えねども風のおとにぞおどろかれぬる」を踏まえて作られたものであろうか?ともあれ、秋は空気が澄んでいることもあり、音に敏感になる。ただ川瀬の音に混じった風の音を聞き分けたというところに、新味があり、極めて感覚的だ。蛇笏の自解文によれば、この川は、生家の前の狐川(山梨県)の流れを詠んだ…

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月をテーマにした俳句(厳選三句)

波音が月光の音一人旅 稔典 大勢で行く旅も、それなりに楽しいが、景色を見るにもどこか情感にかける。その点、一人旅はいい。それが失恋の傷心旅行だったりすれば、触れるもの、見るものが一変して、感覚が鋭くなる。掲句の一人旅はどんな状況で行ったのかは、解らないが海岸を歩いていて、聞こえる波音が、まるで月光の音のように思えたと表している。音の無いはずの月光が、涼やかな音を持っているという比喩には、納得…

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動作をテーマにした俳句(厳選三句)

来る秋や住よし浦の足の跡 来山 来山は、承和三年(1654)大坂に生まれ、生涯大坂を離れなかった、生粋の大坂の俳人。井原西鶴や近松門左衛門らが活躍した、町人文化が隆盛を極めた元禄時代の談林派の俳人だった。この頃の大坂は、全国の物流の集散地として栄えていて、河川も改修されて、縦横に橋が架かり船が行き来していた。掲句は今の住吉あたりは、住吉大社に大きな石の船灯篭が残っているのを見れば、海岸であっ…

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