鳥をテーマにした俳句(厳選三句)

sanku

花粉の日 鳥は乳房をもたざりき 赤黄男

句集「天の狼」(昭和16年刊)より採録した富澤赤黄男の句。
赤黄男の句には、乳房をモチーフにしたものが多い。他にも、後に高柳重信が身をそらす虹の/絶巓/処刑台の句の元になった、乳房や ああ身をそらす 春の虹などがあるが、その乳房のいずれもが、性愛の象徴として描かれている。この句も、植物の花粉を撒き散らして、受粉し結実する様と、哺乳類のように乳房は持たないが、囀りにより求愛をする鳥類とを対比して、性愛を象徴化している。

鳩は鳩 雀は雀 青き踏む 宏子

句集「指栞」(平成12年刊)より採録した吉塚宏子の句。
作者は書道家にして、保護司を勤める。最近ほど、人と人の関わりの難しいことはない。しかし、氏のその優しい目配りは俳句にも如実に現れている。
鳥にもそれぞれ特徴のある歩調がある。鳩はお尻をふってのよちよち歩き。雀は二本足を揃えてのぴょんぴょん歩き。人間はすたすた歩き。そんな歩く様を、俳句を字空けの表記にして、野歩きの楽しさをいっぱいに表現している。

ペリカンの口から春の月が出た 砂穂

2001年の「青玄賞」を受賞した中島砂穂の句。
ペリカンはあの独特の大きな嘴が特徴。その下嘴にある袋は掬い上げた魚を
貯めるものだが、何かを隠しているように見える。そこに、春の月を隠していて吐き出したのだと、ドッキリと驚きを与える。砂穂は掲句に見られるようにウイットに富んだ俳句を得意とする。 春の浜 ちりめんじゃこの大合唱 等の面白い句がたくさんあり、注目する俳人。

 

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