梅をテーマにした俳句(厳選三句)

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勇気こそ地の塩なれや梅真白 草田男

この句に、最初に出会った時、何だか意味が解からなかったが、妙に惹かれた。意味の読み取れなかったのは、勇気が何故、地の塩なのかという疑問だった。後に草田男の自句自註─(『地の塩』は『信仰者』を指している。(中略)十九年の春─十三歳と十四歳との頃から手がけた教え児たちが三十名『学徒』の名に呼ばれるまで育って、いよいよ時代の火のルツボのごときものの中に躍り出ていこうとする、『かどで』に際して無言裡に書き示したものである。折から、身辺には梅花が、文字どおり凛列と咲き誇っていたのである。)を見て納得した。悲しい時代背景を詠み表していたのだ。また、聖書の「汝らは地の塩なり、塩もし効力を失わば、何をもてか之に塩すべき。後は用なし、外にすてられて人に道ふまるるのみ」(マタイ伝第五章十三節)を踏まえている。この句は、中村草田男の句集「来し方行方」より引いた。

菓子折をたひらに提げて梅日和 藍子

お世話になった人を訪問する道すがらの景であろうか。手には大切に抱える菓子折。この菓子は、洋菓子のケーキのようなもので、傾けると崩れやすいもので、水平にそろりそろりと歩いている。作者の訪問先の相手への心配りが、たいらに提げてという思いに現れている。また、梅の清楚さと人柄が響きあっている。この句は「俳句研究2月号」のテーマ別競詠より引いた、八染藍子(狩、廻廊)の句。

梅咲いてお城みたいなおとうさん 恵介

父親をこどもの頃は、とても大きく感じ、大きくなるに従って、等身大となってくる。この句のお父さんは、お城みたいと比喩している。作者にとってまだ父親は、偉大な超えられない存在として、前に立ちはだかっているのか。あるいは、「おとうさん」とひらがな表記されているので、梅の咲く頃になると、子どもの頃の父親の姿を、思い出すのかもしれない。「お城」「おとうさん」の中七、下五の頭の「お」音が心地よい。この句は「船団」53号から引いた塩見恵介の句。

 

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