冬の句4・俳句百景(富澤秀雄句集)

winter

siki_page_navi4siki_haiku

076 凩1号 続いて「ひかり」がまいります
077 膝立てて眠れば 前方後円墳
078 牡蠣鍋で口焼く 海が荒れている
079 竪穴式住居のように 蒲団出る
080 電飾のモデル立ちする枯木たち
081 妻に眠剤 目蓋持たない雪だるま
082 洗われて青首大根 公家の貌
083 枯野では僕の肋骨さえ 楽器
084 七星は神のフルート 凍てる街
085 氷溶け 昨日のような今日が来た
086 心電図の波形の乱れ 鯨来る
087 十二月目次のように指を折る
088 雪女 紅差し指を借りに来る
089 大根のひげ引っ張って晴天なり
090 ごま油気化してからの落葉季
091 白菜の産着のように日を抱いて
092 「キタカゼサンスグカエレ ヘンマツ ハル」
093 戦場のようにくきくき葱折れて
094 恐竜の背骨だったか 雪の尾根
095 着水の鴨抱きとめるきらら波
096 枯木星 シャガールの馬繋がれて
097 原人の目となっている 朽木の森
098 裸木にイエスの肋骨あるような
099 夕焚火 くべた生木がキュンと鳴く
100 白に白鎧う灯台 冬の薔薇

 

冬の句3・俳句百景(富澤秀雄句集)

winter

siki_page_navi3siki_haiku

051 蕪引いて穴に気だるい午後がある
052 白息の少年朝を連れてくる
053 解熱剤こぼした朝の大寒波
054 紙カイロの有効期限 世紀跨ぐ
055 紐引いて雪降らせる役 近松忌
056 寒ゆるむ真空パックの袋破れ
057 眼鏡のつるの形状記憶 戻り寒
058 肋骨の鉄橋渡る冬の列車
059 干し大根ドガの踊り子いるような
060 ホームレスの宿は方舟 落葉の海
061 餌貰うライオン 足下に冬の蟻
062 フラミンゴの足は日時計 冬あたたか
063 冬の蝿忘れ物でもしたように
064 煮凝りにダリの時間を閉じ込める
065 うす氷 太宰治の頭痛めく
066 日に透かす氷片 少年の日の恋だな
067 鮟鱇鍋 骨を残して話果つ
068 落葉踏むツボの集まる足の裏
069 裸木はイエスの化身 風の街
070 歌留多読む 紀貫之の声借りて
071 マンモスの声聞きたくて つらら折る
072 凍てる夜をばさばさ畳む新聞紙
073 水鳥はソロバン並び 午後三時
074 焚火囲む 饒舌の手 寡黙の手
075 初凩右京区木屋町通り上ル

 

冬の句2・俳句百景(富澤秀雄句集)

winter

siki_page_navi2siki_haiku

026 予報士の棒の先から寒波来る
027 大根引く 穴に大きな空がある
028 冬銀河サンタと座る終電車
029 銀の匙磨けば棲みつく 雪女
030 夜会の妻 煙のようにショール巻く
031 泣き出した劇場前の雪だるま
032 朝礼のしんがりにいる雪だるま
033 落葉焚く 義父の胸板薄くして
034 演奏はアルトで終り 寒波来る
035 クリスマス 十字に束ね本を出す
036 三寒の四温の鉄棒逆上がり
037 衿立てて歩けば落葉のエキストラ
038 軽トラの大根二本と乗り合わす
039 風が繰る落葉のカード ニンフの森
040 凩に葉っぱのフレディ乗っかって
041 日向ぼこベンチを母の胸として
042 風たちのシュプレヒコール 落葉舞う
043 少子化どこまで ずしりと重い冬キャベツ
044 蓮根の穴から雲の万華鏡
045 アイロンがシーツの氷海突き進む
046 葉牡丹になろうと丸まる鉋屑
047 霜柱シャリシャリ踏んで 氷河期へ
048 床暖房でうたた寝 ぼらぼら島紀行
049 冬木冬木 耳を当てればSL来る
050 毛布被る父 能登半島の形して

 

冬の句1・俳句百景(富澤秀雄句集)

winter

siki_page_navisiki_haiku

001 山茶花の今日も白紙のメッセージ
002 船乗りの夢もときどき寒卵
003 寒牡丹 今日は無帽の僕でいる
004 咳ひとつ許さぬ気迫 冬木立
005 まどろみの深さのほどの雪の嵩
006 冬日晒しの石棺 木々もまた裸
007 片隅に今日の寒さの鉄亜鈴
008 親指の野望太らす冬の月
009 これはこれ あれはあれとし 冬の草
010 死者の目が背中に痛い寒の菊
011 余震なお犬より怖じる 寒椿
012 蜘蛛の囲にマリオネットの落葉の手
013 手紙裂く 金属音の冬の月
014 寒月の中より兎掴み出す
015 大根は短編小説 下ろし金
016 寒林檎割って明日を晴にする
017 指笛で呼ばれる犬の大枯野
018 日向ぼこ猫とわたしと文庫本
019 直線に歩いてばかり十二月
020 恐竜の卵かがやく雪の朝
021 この丘の枯れ木に疑問符懸けておく
022 包まって毛布に五感 夜想曲
023 カタカナに結氷 ひらがなに氷解
024 月よ日よ 爪先立ちの枯木たち
025 鴨になった顎突き出して 後ろ手して