秋の句2・俳句百景(富澤秀雄句集)

autumn

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026 日時計になれず鶏頭暮れてゆく
027 マルコポーロの海図開けば鰯雲
028 飛蝗とぶ ジャンボ機脚を折りたたむ
029 ピエタのように 日暮のコスモス抱き起こす
030 生地選る妻 月に指先湿らせて
031 草の花 内ポケットは秘密基地
032 駅からの歩数の絵地図 絮たんぽぽ
033 秋はゆっくり ジンベイ鮫が向き変えた
034 点字のような団地の灯り 夕紅葉
035 海原に蟹が遊んだちぎれ雲
036 花時計 水撒くように秋が来た
037 芋の蔓たぐり寄せれば 土讃線
038 フルートの音色を曳いて 流れ星
039 手のひらに軟着陸の 鬼くるみ
040 みの虫の寝袋風が覗き込む
041 地下花舗に風を呼び込む 花芒
042 草原で助走をつけて 九月来る
043 モード学生の綴り合わせる秋の雲
044 月光を浴びてレモンの無重力
045 ハローページのハ行破られ 残暑なお
046 コスモスのゆらゆら 地軸傾ける
047 クルーソーの骨めく潮木 渚の秋
048 照紅葉いま踏み込めば 火だるまに
049 万年筆選る 秋あきあきと書き連ね
050 石榴割れる 保守派それとも革新派

 

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