家をテーマにした俳句(厳選三句)

石の家にぼろんとごつんと冬が来て 窓秋 この句を見て、「北の国から」の主人公の黒板五郎(田中国衛)が、丸木の家に続いて建てた石の家を思い出した。いまは、「北の国から」のロケ地の観光コースがあり、石の家が見られるという。一度行って見たい気もするが、自分のイメージのまま残していた方が、いいのかもしれない。ともあれ、掲句も厳しい自然環境の中に立っている風景が思い浮かぶ。中七の「ぼろんとごつんと」の…

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耳をテーマにした俳句(厳選三句)

耳がいたくて寒くて 裏切みたいな日暮 公子 伊丹公子の自筆百句選が刊行された(沖積舎)。公子の俳句は、詩に近い。詩集『通過儀礼』」の 「(声) 雨が降り籠めて/その声/どの家から湧いたのかよくわからない/家たちは/歳月のように並んで/雨季の盛りだった/屋根が強調された/日本家屋では/雨の確かさが/いっそう/家族を黙らせる/(中略)言葉にならない/音量が/雨雲の町で/あやめのように/咲いて」 …

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妻をテーマにした俳句(厳選三句)

無礼なる妻よ毎日馬鹿げたものを食わしむ 夢道 この句は、句集「無礼なる妻」に収録されている、橋本夢道の作。夢道は、徹底した社会批判俳句で、治安維持法で投獄されたこともある。その作風は、庶民生活を人間臭く描き出し、季節(季語)や音律の制約を取り払って、社会の矛盾や不合理を詠んだ。「良妻にヤミ米騰るに農相『善処します』」、「毀れ易い幸福に冬海の朝日がきらきらさす」などの、弾圧の時代を意識して、む…

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枯をテーマにした俳句・その2(厳選三句)

枯野はも縁の下までつゞきおり 万太郎 万太郎は、小説家としてだけではなく、俳句は余技であると言いながら、こよなく愛していた。『万太郎句集』の後記の中で「わたくしは俳句を、小説を書き、演出に関する仕事をするひまひまを縫ってつくります。従ってわたくしの俳句はわがままであります。必ずしも俳句の規格にしたがひません。しかしわたくしをはなれて・・・わたくしの生活識域をはなれてわたくしの俳句は存在しない…

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果物をテーマにした俳句(厳選三句)

梨むくや甘き雫の刃を垂るゝ 子規 子規は、無類の果物好きだった。友人の夏目漱石は、小説「三四郎」の中で列車で隣り合わせた髭のある男とのくだりで「次に男がこんなことを言いだした。子規は果物がたいへん好きだった。かついくらでも食える男だった。ある時大きな樽柿を十六食ったことがあった。それでもなんともなかった。」などと、書いている。実際、子規は自分でも果物が無ければ、筆が進まないとも書いている。さ…

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