厳選三句 紙をテーマにした俳句・その2(厳選三句) 紙コップ ゆらゆら 雲海の底知らない やすし 学生時代に立山に登ったことがある。その折、山小屋から出て、張り出した岩場の突端から眺めた雲海の美しさは、今でも忘れない。もこもこと、まるで綿を一面敷き詰めたような様は子供でもなったかのように、身... 厳選三句
厳選三句 柱をテーマにした俳句(厳選三句) 夏の日のわれは柱にとりまかれ 喜代子 環状列石(ストーンサークル)の中でも、イギリスのビルトシャーのストーンヘンジと呼ばれる、3重に環状に並べられた巨石の列柱は不思議だ。日本でも、縄文時代に作られた言われる、金沢にあるチカモリ遺跡の丸太を半... 厳選三句
厳選三句 火をテーマにした俳句(厳選三句) 八月の炎へ描く希臘文字 紫逢 夏のいかにも暑そうな季語に、炎帝がある。広辞苑によれば、①火をつかさどる神②夏をつかさどる神③(火徳で王となったと伝えられたいう)神農氏。神農は、中国古伝説上の帝王。三皇の一、姓は姜(きょう)。人身牛首、民に耕... 厳選三句
厳選三句 海をテーマにした俳句(厳選三句) 海見えず蟹ののぼれる屋根が見ゆ 峠 峠は、市立尼崎高校の教師だった。したがって、「何故にこの教室に来れば咳く」「教室の窓は敏感東風来たる」など教師俳句を多く生み出している。また、一変して掲句のように、海を詠んだ句が見られる。峠にとって、海は... 厳選三句
厳選三句 声をテーマにした俳句(厳選三句) 受話器からしゃぼんの如き母の声 桂 この句に採り上げられている母は、故郷に住む母か?何らかの理由で離れて住んでいる母であろうか。ともかく、絶えず連絡を取り合っているのではなく。何年かぶりに電話して、受話器の向こうから聞こえてくる母の声は、し... 厳選三句