夏の句1・俳句百景(富澤秀雄句集)

summer

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001 髭欲しと時には思う サングラス
002 さくらんぼ テーブルクロス純白に
003 蝉しぐれ 書架より失せし博物誌
004 手花火が消えたら 生い立ち話そうか
005 キャンバスにひとつの記憶 青りんご
006 今どきの七人家族 豆ごはん
007 空瓶に唇あてて吹く立夏
008 操作場がらんと電車 ばらの風
009 疑問符のひとつほどけて 水中花
010 心太 身辺の書は斜塔積み
011 晩夏光 沖行くタンカー錆びてくる
012 納涼コンサート 耳のうしろに海がある
013 短夜の夢の端踏むユニコーン
014 この水も七つの海に 濃あじさい
015 バーコード読めないけれど 鮎 檸檬
016 競られゆく クレオパトラというメロン
017 ガリバーの手に身構える バッタの子
018 折り鶴の思わぬ飛力 新樹光
019 クロールの抜き手がつかむ 晩夏光
020 網目から覗く 薄暑のビルの骨
021 広重の夕立の中 橋架かる
022 向日葵の後ろで泣いてるチャップリン
023 また割れた茶碗 大暑のせいにして
024 噴水の穂先が触れてる 仮の平和
025 天道虫のカプセル割れて 星爆ぜる

 

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