春の句3・俳句百景(富澤秀雄句集)

spring

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051 語尾長く引っぱる車掌 花疲れ
052 間取り図に窓書き足せば 飛花しきり
053 本籍地移すのよそう 絮たんぽぽ
054 啓蟄のマジシャンが吐く万国旗
055 メールアドレス変えてみたけど 花粉飛ぶ
056 胸中に空き部屋ひとつ 絮たんぽぽ
057 銀忌 カップに砂糖溶け残る
058 白雲が梢に仮寝 白辛夷
059 日本の裏はモロッコ 春筍
060 揚げ雲雀 雲のひとつを浮巣とす
061 ライターの火花とびつく 花連翹
062 剃り残しの髭がちくちく 芽木の昼
063 春ならば大魚の骨を打楽器に
064 啓蟄のページを分かつ赤い紐
065 体内のあぶくを増やす花の昼
066 爪切ればみんな呆けるつくしんぼ
067 ペコちゃんの頭をぽんと春の塵
068 警官に呼び止められる啓蟄日
069 春の風邪列車ながなが行き過ぎる
070 薔薇の名はアブラカタブラ白雲湧く
071 とびとびに座る河原の花なずな
072 桜咲く地面を蹴って乾く犀
073 踝は尾鰭の証 海おぼろ
074 姫辛夷 カスタネットの音がして
075 チューリップ クレヨン貸してくれないか

 

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