秋の句3・俳句百景(富澤秀雄句集)

autumn

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051 がちゃがちゃ鳴くから鋏錆びてくる
052 いわし雲 尾びれ背びれを忘れての
053 柿日和ゆらゆら少女の一輪車
054 原子炉を遠巻きにして 曼珠沙華
055 割れ石榴 救急箱に止血剤
056 風化した遺跡さながら 駱駝座す
057 ぼんぼん時計 ほら 蓑虫が顔出した
058 月光干しのGパン 僕の宇宙服
059 手のひらの紅葉一片 僕の火種
060 手のひらの子午線跨ぐ天道虫
061 枯れ向日葵倒される時 鉄の音
062 片耳がまだ覚めている 虫の夜
063 鶏頭の鳴き出しそうな真昼時
064 鳥おどしの目玉 青田はピカソのもの
065 宙吊りみの虫 お降りの方はいませんか
066 金木犀ぽろぽろ時間の欠けらです
067 木の実降る覚えられない新兵器
068 県境を三つ跨いで 紅葉の夜
069 スイッチまでの手探り ちちろ虫の闇
070 袋からマシュマロあふれ 秋の雲
071 ごま油つんと香りて 晩秋
072 オカリナは小鳥の形蜜柑山
073 マヨネーズの語源は町の名 鳥渡る
074 トンボ来る赤鉛筆のよく減る日
075 助動詞のようにくっつくいのこずち

 

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