miraiku

厳選三句

我をテーマにした俳句(厳選三句)

人殺す我かも知らず飛ぶ蛍  普羅「人殺す」とはぶっそうな書き出しである。二十九歳の時の作で、その活動した時代は、戦争という不幸なうねりの真っ只中だったことを思えば、少し納得できる。虚子が「石鼎の句は春の如く夏野如く、普羅の句は、秋の如く冬の...
厳選三句

数をテーマにした俳句(厳選三句)

日輪へ発つ玉蟲の数知れず  杏子玉蟲の体色は緑色の地に紅紫色の縦じまがあり、しまは黄ないし橙色でふちどられ雌雄とも美しい。その美しさ故、わが国最古の美術品といわれる法隆寺金堂の玉虫の厨子に用いられ、その複雑な色を放つはねの色は貴ばれていた。...
厳選三句

魂をテーマにした俳句(厳選三句)

たましいを秤るや黴の花の中  朱鳥虚子に「曩に茅舎を失ひ今は朱鳥を得た」と賞賛された朱鳥は、中学時代に胸を病んで以来、生涯病弱だった。昭和二十七年には「菜殻火」を創刊して、生命風詠をめざした。そんな朱鳥だから、句集「愁絶」に見られる“つひに...